アルバムレビュー【SUGIZO/TRUTH?/1997.11.19】

jirolian
May 1, 2016

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発売当時、商店街の電器屋さんで購入

今では、SUGIZOのマニアックな趣向や活動は広く認知されていると言っていいような気もするが、1996–97年当時LUNA SEAがバンド活動を休息した際には、世間にはそれ程認識されていなかったはずだ。エッジィなカッティングと宇宙的な歪みによる浮感溢れるソロ、またナルシストを王道で邁進する(この表現は多分に誤解を招くものであるが、世間の評価として)パフォーマンスで個性を確立しつつあった頃。しかしながら、1st single”lucifer”、2nd single”prayer”、また各シングルのリミックス音源である”Replicant lucifer”,”Replicant prayer”等を経て、第一次ソロ活動の集大成である1st album”truth?”の楽曲で提示されたものは、これまでのLUNASEAらしさを残しながらも全く未知な世界であった。サイケで密室でノイジーで耽美で厨二でアーバンでロックで…。自分の思いつく要素は全て満たしていたし飛びついた。ザッパやクラブミュージックの入り口も元を辿ればこの1枚だった。

LUCIFER〜 BEAUTY〜PRAYER(シングル曲)

I LOVE YOUやGLASSで河村さんがはっちゃける中、真矢が椎名へきるとデュエットしちゃう中、安定感すらあるSUGIZO氏のソロシングルはとてもいい感触を持って自身に受け入れられた。シングルで出すからなのか、SUGIZOがメインで歌うので、濃厚なバックトラックに対してメロディラインはもの悲しい感じになる。アルバムの他の曲ではゲストボーカルも迎えていてそちらも随分いい感じ。ただ、このアルバムの雰囲気を体現できるのはSUGIZOだけなので、SUGIZOボーカルは不可欠なのであった。ミックカーンのベースがえらい重さとエグいラインで、みぞおちが非常に気持ちよいのも特徴。Replicant版のドラムンベース全開のluciferは当時のお気に入りだった。当時のd-kikuはとてもいい仕事をしている。

THE CAGE〜KANON〜CHEMICAL〜MISSING〜LUNA

アルバム曲は上記の曲よりも激しさと寂しさが多め。曲によっては坂本龍一氏やSUGIZOの娘が参加している。雰囲気はクラシックからエレクトロニカまで幅広く、必ずギターがフィーチャーされている訳でもないのだがSUGIZOの隠せない個性が漏れてしまうから不思議。

Le Fou〜deliver

le fouは綺麗で繊細なギターが波のように打ち寄せるSUGI様珠玉のインスト。1stシングルにも収録されているが、アルバムを通して感じられるトリップ感はこの曲で極まる感じ。ファンブック”can I fly?”の特典でついてきたリミックス”Aquarius after the Le Fou”が、SUGIZOのボーカルが追加されていてさらにいいのでファンブックか特典CDの中古を買って聴いてみる事をお勧めする。youtubeにあるかは不明。deliverは午後におしゃれ風中庭でのんびり的なボッサにも聴こえるのだが、終始音が重ため。中頃のソロが耳をつんざくようなノイジーギターで、SUGI様のギターソロの中でも特に異彩を放っていて1番気に入っている。

買うのにちょっと勇気が必要だった

結局、河村さんが愛の世界から戻ってこれず、Luna sea再結成後はバンドの毒の部分が見えなくなって、かなり、正統派なハードロックバンドになってしまった気がしている。結局ライブを生で見た事も一度もないのだが、できれば再結成前の状態のライブに参戦したかったという思いである。ただ、メンバー全員が鬼のように演奏が上手いので、普通に見たいので見に行くかもしれない。

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※2018/11/29追記:Yoshiki主催のVisual japan summitでXJapanやグレイと併せて初めてLUNASEAを見ることに成功している。その時の感想が下記に書かれている。TRUTHレビューもVJSも2016年の話なのだが。

Visual japan summit (Day 1)10/14 at 幕張メッセ 感想文

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